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spice lifeの10年を振り返ってみる

2007年5月7日創業の株式会社spice lifeは昨日5月7日に丸10年を迎えた。

10年長かったなとも思えるし、10年あっという間だったとも思える。

ただただコツコツと地道に知らないことを知るということをやってきただけに過ぎないようにも、失敗も含めいろいろなことがあったとも感じる。

 

今思い出せる話を書き残しておくのも良いかなと思ったので、今までの10年を思い出せる範囲で振り返ってみる。

ちなみに、起業した頃は10年後どうなっているかなんてまったく考えてなかった。

 

起業前から起業後に最初の自社サービスを立ち上げるところまで

  2006年12月末にそれまで勤めていた会社を退職し、1月からフリーランスとして前職の仕事を3ヶ月ほど受注、その間に起業準備を進めていた。

退職する前は、経営企画室の室長をしていた。働いていた会社の社長と近い立場で仕事をさせていただき、社長とよく一緒にランチをしたりもしていた。仲良く仕事をさせてもらっていたこともあり、自分が考えていることを正直に話していた。その会社は大きく方向性を変える時期で、経営企画室で考えていた新事業案はいったん棚上げすることが決まっていた。自分で考えた企画もあったので退職しその事業を立ち上げるために起業しようと考えていることは伝えていた。

 

無論、社長は退職に反対していた。そして、起業してビジネスを軌道に乗せることは本当に大変だというアドバイスをしてくれていた。

確かランチのときや電車で移動しているときなど含め何回かそういう話をしてくれたと思う。

が、その頃の自分は、

”だからといってやりたいことがあるのにそれをやらずにそのまま働き続けることは出来ないので、大変だから起業しないという話にはならないなあ”

と考えていた。

 

これは今思うに、実際に起業を経験している人からのアドバイスだったわけだが、起業するかどうかに悩んでいる場合であれば、このアドバイスは参考になったのかもしれない。ただ自分はあまりその言葉を受け止めていなかった気がする。まあ何を言われても自分が結局どうしたいかが大事だったんだろうなと思う。

 

起業してビジネスを成長させることはやったことのないことの連続、のんびりやっていれば倒産してしまうので大変なことなのは確か、そう考えると周りからはいったんは反対されるくらいのほうがいいのではないかとも思う。

 

3月半ば辺りからオフィスを借りるために準備を始めた。

その頃自分は東急東横線学芸大学駅の近辺に住んでおり、起業後すぐに数人採用することを考えていたため自宅をオフィスにすることは想定していなかった。

渋谷は賃料が高そうという勝手なイメージと、できれば自宅から近い方がいいが近すぎても嫌という理由で、中目黒や祐天寺付近で最初探していた。そして内見もそのあたりの物件を見ていた。

ただ見ているうちに、中目黒も高く、駅から離れている場所でなければたいして渋谷あたりと変わらないところが多いということが分かり、採用にも有利な渋谷でも探してもらうことにした。

そして渋谷区桜丘町の古いマンションの1室を見つけてもらった。渋谷駅から徒歩5分程度で広さも適度だった。

立地もいいし賃料も払える範囲だったためここにしようと手続きを進めた。4月下旬に借りることができ、その後に登記をしたためGW後の5月7日が登記日となった。自己資金での起業だった。

 

起業してやることは決めていた。

ウェブで自分でデザインしてそのまま購入できる名刺作成サービス

を立ち上げることだった。 

 

自分はこれからの世の中は個が活躍する社会になっていくと考えていた。

どこで働いているかがステータスになるような時代ではなく、個人が何をやっているかが大事になるだろうと思っていた。

またSNSが流行り、オフ会などでの交流も盛んに行われている時期だった。

会社の名刺での連絡先交換ではなく共通の趣味やハンドルネームをカジュアルに教え合うような用途に向いている名刺をウェブで簡単に作れればいいのになと思っていた。日本にはそういったサービスが見当たらなかったので、自分がそれを立ち上げようと思った。

 

ただし、自分ひとりではサービスを立ち上げることは出来ないのでエンジニアと企画、デザイナーを採用しようと考えていた。

信頼できるかつ興味がありそうかつ自分の役割を理解し自律的に動けそうなひとという基準で一緒に働いていた人に声をかけ誘い、エンジニアと企画とデザイナーの3人を見つけた。 ただ、デザイナーとは最終的にはジョインする前に話をし実際に入社してもらうことにはならなかった。

サービス自体は起業前から構想としてあったので初動からスピード開発、海外に同様なサービスもあったので参考にしながら3人で作っていった。ウェブサイトのデザインは外部の人にお願いした。

こうして、5月7日に会社設立、その後エンジニアと企画の2人のジョインを経て、

2007年8月1日、ミニ名刺作成サービスpocketerは立ち上がった。

 

いちおうの構想はあったとはいえ、そもそもオフィスに必要な道具やら家具やらもないというところから、サービス名も決まってない、開発環境もない、ウェブサービスの開発も1から、実際に名刺を作ってくれる工場探しと価格交渉やら業務フローの作成やらなど、3ヶ月弱でのローンチは上出来だったと思う。ただし、事前の調査や計画などは起業前に行っていたのでその期間を含めると半年以上はかかっているけれども。

 

オリジナルブログ名刺が作れるオンラインショッピングサービス、『pocketer(ポケッター)』を開始

 

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うろ覚えで時期が前後しているかもしれないが、たしかこの頃に、渋谷区の創業支援資金も活用して借り入れもした。ちなみにその頃はVCなどその仕組や制度や存在すら知るわけもなかったが、仲間がお世話になっていた社長一人だけ、自分たちの事業をプレゼンしに話をしにいったことがあった。まあ、愛ある叱咤激励でこてんぱんにされたけども。

 

自己資金と借り入れがあれば、3人が1年は食べていける額が集まり、1年以内に単月で損益分岐できれば問題ない、個人の貯蓄もまだ少しは残っているのでなんとかなるだろうという考えで、自分がやりたいことを実現した嬉しさや、仲間と楽しんで仕事をしている充実感が大きく、ビジネスの厳しさはその頃は感じてはいなかった。

 

続く。

 

追記:

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spice lifeの10年を振り返ってみる、pocketerローンチ後 - 新ECおもろ